観るものと、生活の日記

「ヴァンパイア・レジェンド」

 
StudioLife「ヴァンパイア・レジェンド」
★★★

於:シアタードラマシティ 2006年4月7日19時 9列左ブロック








*感想*

○全体感○
 ヴァンレジェってHPの写真すごくきれいだし、及川さんや芳樹さんならみたいかなーってくらいだった。しかしそのキャスト大阪は平日のみ。なんと強気な。あの二人が主演なら、平日でも席うまるかも、ってことか。チケットとりを一時は諦めたものの、代休とれることになり、急いでチケット譲ってもらう。当日もギリギリ2分前に飛び込んでの準備不足な観劇。

舞台にはポツンとPC。そしてロック。ちっこい劇場風の、荒削りなはじまり。いつもと違う感じでちょっとわくわく。エンジニアと卒論かいてる学生登場…。しかし動きもしゃべりもみょうに女子っぽいのは何。そしてホープ軒って一体。下井君と関戸君、なんか可愛らしすぎるよ。しかし、お芝居としてはすきな雰囲気。

 突如、時は19世紀。ドイツの古城。ただただ状況説明をする芳樹さん。うってかわって、本の朗読のような古くつまらない時間が。ううむ、いまいちなときのライフの芝居空気。このまま過ぎていくのだろうか。6歳と主張するネグリジェの深山さん登場。及川さんも登場。やはり襲ってるようにはみえない。ミスキャストになっちゃうのか、とやや心配だったが。

久々にみた役者さんたち。さすがに新人さん以外は名前覚えてる。なんかカツゼツ前より悪くなってる人いたように思えた。
馬車から転げ落ちたらしい及川ゼーリヒ。母同士で長々と相談している間うちすてられたまま。とりあえず中へ、といってあげたい。

ゼーリヒと会えることになり、うれしそうなジョージ。部屋に入った途端「僕は君と会った事あるよ」とか言い出しあう二人。原作は知らないが、ガラスの仮面の「カーミラの肖像」でここを読んだ時と同じ唐突な印象。カーミラじゃないジョージがゼーリヒを覚えてるってのは分かるけど、逆は変だし。ジョージも「あれ、6歳の時と今の僕は随分違うはず」とか「相手は当時既に大人だったが」とか不思議に思いそうなものだ。しかも「どちらがより怖かったか」と言っても、そりゃジョージの方が怖かったろう、といいたくなったのだが。お互いに夢と思い込んだってことでいいのか。

最初、襲う方は変かもなと思った及川さん。しかしこれが魅力的な青少年吸血鬼。ジョージの設定もいい。田舎の古城で、母親や女性の使用人達にだけ囲まれ、大事にされてきた若者。芳樹さん、ちゃんとそういう「母に逆らわずボーとした優しい青年」になりきってる。母親たちもいい。ジョージに危険が迫ってると知らされ、女家庭教師や女中にジョージを守らせようとする辺りとか。彼女達の中では、ジョージはちっちゃい男の子のままなんだろーなぁと思わされて、ジョージのため息と共におかしい。

ひっそりした寂しい毎日のなか、初めての同世代の友だちってだけで刺激あるはず。しかも積極的で、博識。色気と妖しげなオーラを備えたやつなら、そりゃ夢中になるほかない。

芳樹さんも及川さんも、線が細くて、なおかつとっても色気がある。芳樹さんは、動きがしなやかでゆっくりでキレイだし、及川さんは、機敏でカッコいい。一見女装が似合う及川さん、でも男役の方がいいと思う。ちゃんとカッコよさがでるし、兄貴っぽい。誰が反対しようと、多分オスカーだってできるさ。と強気に勝手に思ってみた。この二人がすると、「ポーの一族」みてる感じ。

 話も、終わりがけから面白くなってきた。将軍の回想で、ゼーリヒや一族の行動が吸血鬼としての常套手段だったことが分かる辺り、体のコンディション整えず観劇に突入したことを後悔するおもしろさ。 舟見おかーさん、いつもああやって息子を各土地に放っては、栄養をとらせて、を繰り返してたんだなぁ、と思うと、なんかの毒虫一族みたい。

舞踏会の場面もなかなかの美しさ。これまでセットやなんや、やけに殺風景で地味だなーと思ってたが初めて華やか。将軍の甥っこ演じる松本君、ジョージと同じくゼーリヒ(仮名)に夢中でとってもうれしそうな感じが、出てる。どこでも同じように、青少年を夢中にさせては、死なせて。しかし青少年達はいい思いもしたわけだが、農家の娘さんたちは単に栄養にされただけって感じ。同じ危険ならまだ魅入られた上のほうが、途中までは楽しそう。
ゼーリヒ見つかった夜のジョージとゼーリヒのラブシーンがやけにセクシー。ベッドシーンとかあるわけじゃないのに「ポルノ系の芝居観に来ちゃったのかも」とつい思い込みそうになるほど、濃い空気感。つうかあんたら二人、何してるのそこでって感じでもあったが。

 ゼーリヒは危険だが、もう退治せんでいいやん。そう願わせてしまうほど。それが最期を向かえる前に、唐突にまたジョージの語りに戻ってしまう。やだ、ストーリーのまま続けてくれ。「そうしてゼーリヒは将軍に退治されて終わった」なんて。と哀しがっていたら、ちゃんとオチあり。命は救われたが、血を吸われていたことで、ジョージも実は吸血鬼になっていたという。で、ゼーリヒはジョージの中で生き続け、多分二人は永遠に愛し合う仲。母親なども吸血鬼になったのか、ジョージに付き合ってか知らないが、放浪するハメになったらしい。で、おそらくゼーリヒみたいに、あちこちに放たれて青年を夢中にさせては…を繰り返してきたみたい。そして次は冒頭でてきた卒論青年を狙ってる…という場面で終わり。ってのはかなり気に入ってしまった。

終わったときは「おもしろかった~」って思いで、まじに立って拍手したいくらい。楽しくて色気あってどきどきもさせて、っていいよね。使われてた音楽も相変わらずよかった。昔のヨーロッパが舞台なのに、現代的なのが多くて。

原作をいじってあるため、面白かったし、パンフレットに書いてあること読んでも、芝居見てちゃんとそれが伝わったと納得いった。この芝居は倉田さん!だなぁって。

去年観た「ドラキュラ」の話にいまいち感あったのは、やはりジョナサンが、ちっともドラキュラに関心寄せないで終わるってのが一つだったかも。このヴァンパイア・レジェンドでは、こっちの期待以上に惹かれあってて、みてても素敵だった。


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